コレクション: Misasa Tomoko
幼い頃から絵を描いたり音を奏でたり、手を動かすことが好きだった。
16歳の時、大切な弟を亡くし私の世界は一変する。「家族とは何か?」「自分は何者なのか?」答えのない問いを抱えながら美術の道へ進むことを決意し、土の温もりに心惹かれ陶芸を学んだ。
20代は、器やオブジェを作りながら「土を積み重ねること、形にすることとは一体どういうことなのか」自問する日々が続く。
一方で、小さな子どもたちが無邪気に描く絵に強く惹かれ「子どもと関わることをしたい」 そう直感し、たった一人の生徒のために絵画教室を開いた。無心で描く子どもたちの姿は「表現することの純粋さ」を思い出させてくれる。
32歳で首の頸椎ヘルニアを発症し陶芸を続けることが困難になる。「それでも、手は動く」ペン一本から描き始め、生きているという実感が触覚に響き色彩に触れることで心が震え、土素材に近いクレパス画へ広がっていき、描くことで私は生かされた。
42歳でヘルニア再発。入院生活の中で、また立ち止まり考える。
今も子どもたちと表現することの豊かさや育まれていく感性を磨くお手伝いをしながら、知らなかったことを知れる喜びや与えて与えられての学びがある。
自分の制作は、日々の生活の中で見えなかったものが見えた時、見えないものの奥にあるものを見るように、記憶と時間と存在と、普遍的なものの価値観や死生観を色や形にしていく作業。一日の花を摘み、表現することの意味や生きることの意味を今も手探りしている。
色即是空、空即是色、日日是好日
【profile】
1977年 福岡県生まれ
2003年 大阪芸術大学 大学院修士課程造形表現(陶芸) 修了
2005年より現在 個人で子ども絵画造形教室主宰
中村学園大学非常勤助手兼任
福岡女学院中学高等学校非常勤陶芸講師(2014〜2024年)
陶インスタレーション、絵画表現活動
【exhibition history】
2002年〜2011年 個展・グループ展(京都/大阪/滋賀/東京/千葉/常滑/佐賀/福岡)
2011年〜2024年 毎年個展・二人展(久留米/Gallery Earl Gray )グループ展(福岡)
2022年 11th Discover The One Japanese Art 2022 in Paris (フランス)
2026年1月 湯布院アートホールにて個展予定
【public collection】
世界のタイル博物館
